Ⅴ フラメンコと子育て

 まだまだ私は子育てについて語るには程遠い。
長い、なが~い子育てという道のりのほんの1歩を踏み出したにすぎない。
あ~。妊娠中のなんと優雅なこと・・・。戻りたい・・・。
というのは、本音である。
でも、子供がいる生活というのは毎日が戦いで自分の時間など全くない日もある。まだ子供が1人しかいない私でさえこれだから、2人以上いる人はどうやって生活しているんだろう???とつくづく思う。
子供を持つ、母親になるということは今まで感じたことのないような充実感と幸福感を味わえる半面、何事も自分の思い通りにならないというストレスと背中あわせであるような気がする。
私は子供を産んでからというもの、フラメンコに関して以前のように思うように練習できない、なんにもできない!ということのストレスからいらいらしたり、そんなことでいらいらしている自分に嫌悪感をもったり、子供がいるのにフラメンコしたい!と思うことで子供に罪悪感をもったりしていた。そんな中で少しでも時間ができるとたとえ、15分でも子供を家族に預け練習しにいったりしてもがいていた。
子供が1歳になる頃にやっと諦めがついたところがあって、練習できなくてもいらいらしなくなった。もちろん練習は今でもしたい。でも、しょうがないなーという気持ちが強くなった。周りのフラメンコのプロとしてガンガンがんばっている友人たちを見ると今でも羨ましい気持ちがないといえば嘘になるけれど、またいつか思うようにできるようになる日を夢みて、今ある現実と自分に見合った内容で精一杯フラメンコに近づきたいと思っている。
子供を産んでからずっとやりたかったことがある。それは子連れレッスン。それは、周りのママ友たちや自分自身の状況から望んでいたことである。
子供が小さいうちは離れたいけど離れられない。どちらの親も遠く、旦那さんも忙しく朝も、昼も、晩もまったく一人で子育てしている人はたくさんいる。私のように両方の親が近くに住み協力的な状況でもあまり預けすぎるのも気が引ける。どこかに行きたければ子供を連れていくしかないのである。とくに、子供と二人きりでいると煮詰まってきて何がなんだかわからなくなる事もある。そんなときにこそ外に出たいのである!
私は子供をつれて大阪までフラメンコのレッスンに通っていた時期がある。理解のあるオーナーさんで子供が歩き出すまではレッスン中子供の隣で見てくれていた。でも、やはり子供も親が自分の方向いてないと分かると騒ぐ。私も半分レッスンできればいいほうだった。騒ぐとレッスンが中断するので他の生徒さんたちはどう思っているんだろう?幸いみんな理解あり嫌な思いをすることはなかった。
でもやっぱり気がひけるな・・・。
じゃあ、生徒たちがみんな子連れだったらどうだろう!確かに通常のレッスンよりは内容は薄くなるだろう。でももしかしたら子供どおしで遊んでくれるかもしれないし、みんな同じ立場だからレッスンが中断しても気を使うことはない。
今まで、「フラメンコずっとやりたいけど子供が小さいので・・・」とか「以前やっていて妊娠で中断したけどまたやりたい」とかそういう内容のメールをたくさんいただきました。
そんな気持ちの人がたくさんいるのに、何もできないんだろうか・・・。何かできたらいいなぁ。


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© 吉田悦子フラメンコスタジオ