Ⅵ フラメンコ的対話のすすめ

 フラメンコ的対話・・・・これは別にスペイン語で会話することでも、フラメンコ談義に花をさかせることではない。もちろんフラメンコに携わる上でスペイン語を理解することはとても大切だと思うし、フラメンコ談義(だれそれの踊りが好きだとか、歌がどうの、ギターがどうの。。という話)は大好きである。
ここで言うフラメンコ的対話とは、ギターや歌や踊りがそれぞれ主張しあいながら、でもお互い譲り合いながら、そして融合して何か一つではできないエネルギーや空気を作り出す事である。
普段でも、一人が一方的に話しているだけでは、会話にはならない。自分が思っていることを話す、相手はその話を聞いて自分の意見を言う。すると、それを聞いてまた、違う意見やアイデアが頭に浮かぶ。そしてまたそれを相手に話す。そんな感じで会話はどんどん発展していく・・・。
これをフラメンコでできたらどんなに楽しいかなぁ・・・。
そんなことを思い始めた。
普段の会話に通常シナリオはない。同じ話でも相手が変われば、もしかすれば時間が変わるだけで全く違う返事が返ってくるかもしれない。フラメンコでもそんな会話ができれば・・・。
もちろん、踊り手は踊りで表現しないといけない。ギタリストはギターで、歌い手は歌で会話するわけで、もちろんとっても難しいだろうし、例えやろうとしても相手に伝わらなければ意味がない。それでも、そんなことに挑戦してみたい。バックの人のメッセージを感じ取れて、それに答えて体が動いた時はなんともいえない充実感を感じる。同じ価値観を共有できたような、そんな幸せな瞬間である。
逆にこちらが思っていることが通じた時も、すごくうれしい。

こんな瞬間をもっと作り出せる踊り手になりたい。


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© 吉田悦子フラメンコスタジオ